今回はHYBRID(インクジェット)部分を解説させていただきます。

メインの操作パネル。
各ステーションのセッティングがタッチパネルで視覚的に設定可能。
設定できるステーションの番号の多さからもこの機械の長大さがわかる。
roq hybridでは、濃色ボディなどへプリントする場合、最低3版を使用。
白インク用が版が2版、前処理剤用が1版。
(淡色ボディで白が薄くても良い場合は白用は1版。白インクを使用しない場合は前処理版のみ。)
操作パネルでは、1と7に白インク版。10に前処理版がセットされた状態。
1の左側でTシャツを貼り
1で白をプリント
2でスポット乾燥
3でヒートアイロンプレス
5でもう一度スポット乾燥(感想が十分な場合は省略)
7でもう一度白をプリント
8でスポット乾燥
10で前処理剤をプリント
11でスポット乾燥
13でインクジェットプリント
15でスポット乾燥
という順番。
29の手前でTシャツを抜いて、トンネル乾燥機へ流す。
30はTシャツを貼る板に付着している水性インクから浸透してきた水分を飛ばすために、再度Tシャツを貼る前にスポット乾燥を入れている。
roq本体が長大なので、通常のインクジェットならオーバルの片側だけでプリントが完了できる。
強い色を出したいときなどに一部分をシルクプリントにする場合や、オーバーコート版を刷る場合でも、まだオーバルの片側が残っているので、充分な余裕がある。

インクジェット部分。
OSはWindows10で動作。
psdデータやグレースケールデータも読み込めるので、データの汎用性が高い。
中央のグレーのボックスの中にプリントヘッドが12個搭載されている。

プリントヘッドを下から見た写真。
この配置によって広い印画幅を実現。
1つのヘッドに2色。
この機種はCMYKにOrangeとBlueを加えた6色機なので、1色あたり4つのヘッドからインクを吐出することで、少ないストロークで充分なカラー濃度が出せる。
プリントヘッドは FUJIFILM Dimatix Star Fire SG1024。これはkornit(コーニット)の最上位機種と同様のもの。高精細で堅牢性とメンテナンス性に優れたこのプリントヘッドは、ガーメントプリンター以外にも様々な産業用インクジェットプリンターで採用されている実績がある。ハイエンド機種のスタンダードとなっているプリントヘッドなのだと思う。
(コーニットではCMYK +レッド・グリーンを採用しています。このあたりのインクジェットのインク色と表現力の比較などについては後日考察をまとめてみようと思います。)

↑写真では左上からプリントが始まっている。
白を2版刷った後、写真手前の前処理剤版を刷るところ。前処理剤版内が白く見えるが実際にプリントされると透明。

インクジェットへ。(↑写真では手前から奥へ向かって進んでいる。)


しっかりした下地の上にインクジェットプリントをするので、高精細さが際立つ。
例えるなら、家で年賀状なんかを自分でプリントしようとする場合、郵便局でインクジェット用」を買ったとする。これに家族や子供やペットの写真をプリントしてみても、ガッカリすることが多い。スマホやパソコンでディスプレイに見慣れてしまっているので余計にその沈んだ色やどす黒くなった肌色にがっかりしてしまう。そこで年賀ハガキにも「インクジェット・写真用」があることを知る。光沢のある固めのハガキ用紙で、ハガキの値段より高いので使うのことを躊躇してしまうが、印刷されたものを見比べると用紙が違うだけでこんなに綺麗に印刷できるものかと納得。(実際にはプリンターの用紙設定によってプリンターがインク量の変換などを行なっている)
事務作業などでもザラザラの最安のコピー用紙でプリントアウトするよりも、滑らかな上質紙にプリントアウトしたほうが綺麗なのと同じ。
roq hybridでは白インクと前処理がシルクプリント、しかも水性インクなので、表面がとても滑らかになっている。(逆に言えば生地感が隠蔽され、シート感があるとも言える。このあたりはトレードオフの関係で、感じ方も人それぞれの部分かもしれない。)
(インクジェットガーメントプリンターの前処理と白インクの方式や戦略については後日別にまとめてみようかと。)
長文をお読みいただきありがとうございました。
今日のところはこの辺りで失礼いたします。