新元号が発表され、平成最後ムード満点の今年の4月。
古い時代に別れを告げて、新しく希望と平和に満ちた世界へと向かおうという。
僕は新しいものが好きな方で、工場でも新しいことをやろうという際には積極的に首を突っ込んでいくことにしている。
新しい変化に対応できなければ、生き残っていけないのではないか、と少々大げさに思ってみたりする。
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しかし、
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それにしても変わりすぎではないだろうか?
何って?
コーラの値上がり?
違います。
教育テレビの番組です。
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「いないいないばあ」をご存知か?
NHK Eテレで放送されている乳幼児向けの教養番組。
1996年放送開始なので20年以上の歴史ある番組で。
自分が20代の頃はこの番組のことが全く理解できなかった。
もっとも、その頃は、ホテルのバーで夜中の仕事をして帰宅し、朝ぼんやりとテレビをザッピングしている間に観た程度であったが。。。
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教育テレビの素晴らしさは子供ができて初めて理解できた。
(Eテレと呼ぶらしいが、おじさんなので未だに教育テレビと言ってしまう。)
生まれたての赤ちゃんはまだ泣き声も小さく、夜通し抱っこしたとしても軽いので、寝不足になる程度。(それも十分辛いけど。。。)
しかし、生後半歳を超えてくると、泣き声は大きいし、自分で動き回るし、体重も重くなっているので抱っこし続けるのも肉体的に辛くなってくる。
この時期の乳児はとにかくいろんなものに反応し手を伸ばし口に入れ、転がり、転んで泣く、を繰り返す。
動き回ると危ないので、ベビーゲージのようなものの中に入れておけば安全性はある程度確保されるがとにかく泣き叫ぶ。これはこれで精神攻撃となって襲いかかってくる。
このような具合に振り回されている内に、藁にもすがる思いで教育テレビ、否、Eテレをつけてみた。
すると、さっきまで暴れまわっていた乳児が、画面を食い入るように見つめる。
大人しく座って居続ける。
こんなことが!
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子供を持ってわかったことが、子供をただジッとさせておくことがどれだけ難しいか。
口で言っても当然言葉は理解してくれない、見るもの全てが新しく興味と可能性の獣と化している乳児を止めることは、それ以上に興味を引くことで可能になったのだ。
乳児の興味を引くこと。
それが何かは全くわからなかった。
「いないいないばあ」の画面の中では、赤いゴムボールが草原をコロコロ転がっている映像。
当然大人は?????の嵐である。
画面に意味とコストパフォーマンスを求めてしまう大人には理解できないが、
乳児にとっては釘付けになるほどの内容の映像らしい。
これをきっかけに我が家では「いないいないばあ」を始め、目ぼしい教育テレビの番組をビデオに録りためてみた。
その中でも最も乳児の動きを止めてくれるのが「いないいないばあ」だった。
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「いないいないばあ」の出演者は、
わんわん と呼ばれる巨大な犬の着ぐるみ。
うーたん と呼ばれる頭からマラカスが生えている小さなキャラクター。
そして、人間の女の子。
この女の子がこの4月で新しい子に代わってしまった。
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僕たち一家が見始めた時は「ゆきちゃん」という女の子だった。
視聴者である乳児とたいして変わらない年齢、といったら大げさであるが、まだ幼い女の子だった。
こんな小さい子にこの大役を任せるNHKは大丈夫か?
とも思ってしまった。
僕らが子供の頃の番組といえば、実年齢は二十歳を超えているであろう女の人が、子供という設定で子供の扮装をしていた程度だったはず。
それが、今やこんな幼い女の子に働かせるのか!NHK!!
と憤ったものの、すぐにその子の類いまれなる才能に納得した。
今までのこの手の出演者にありがちな「劇団ひまわり」感が全くない。
ただただ一生懸命に歌い踊る。魔人ブウのような衣装もとても似合っている。
顔面の筋肉をフルに使って作る笑顔もわざとらしさというよりも、一生懸命さを感じて応援したくなる。
たまに週末のスペシャル版で歴代の女の子が出演したりするが、その子たちはみな出来る子役感があり、大人が好む子供を演じていて、上手すぎた。
ゆきちゃんの、歌唱力やダンスセンスといった方向から見るのではなく、子供が子供らしく歌っている、子供らしく一生懸命踊っている感じが、自分の子供と重なる。
(もちろん、自分の子供と比べるべくもなくゆきちゃんのほうが断然上手いけど。)
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我が家の二人目の子供がこの番組にお世話になるころには、ゆきちゃんはすっかり大きくなっていた。我が子とともに成長していることを実感する。
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そして先月、ゆきちゃんの卒業が発表された。
民放のテレビ番組でよくあるような壮大な演出は無く、明るくさっぱりと次の女の子に代わっていった。
次の女の子も、初期のゆきちゃんほどの年齢ではなさそうだが、それでも幼い。
幼いが、NHKのEテレの大看板番組の苛烈なオーディションを勝ち抜いただけあって、
やはりゆきちゃん以前の「劇団ひまわり感」がある。つまり、上手すぎた。
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女の子の交代に合わせて、オープニングも変わってしまった。
以前のオープニング曲は「ランランランランラン♫」という ゆきちゃんの歌で始まるので、子供がグズった時などにすぐさまビデオをつけて、ホラ!始まったよ!なんて子供子供の注目を引きやすかった。リズムもシンプルなので、曲に合わせて抱っこして揺すってあげれば大概の場合は泣き止んでくれた。
しかし、新オープニングテーマでは、耳に入ってきにくいイントロで始まるため、子供の注目を引き辛い。
これを聴くたびに、ゆきちゃんの引退と合わせて、二重に寂しい気持ちになるのだった。
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続く。。。
ピンバック: 新しいものが好きだと思っていた自分が、気が付いたら保守おじさんになっていた〜その2 | Shoeisilk Factory Report prepared by Sakurai